発酵プロセス初期運転の最適化の限界
製薬会社の発酵プロセスでは、微生物から目的物を生成するため、安定した菌の増殖段階において最大400時間に及ぶ連続運転が求められます。
特に初期20~50時間の運転効率は、発酵プロセス全体の収率を左右する重要な区間として位置づけられています。しかし、作業者による手動運転のため、夜間投入・熟練度の差・疲労の蓄積などに起因する人的エラーによって生産性の低下が発生しています。さらに、多変量(multi-variate)・非線形(non-linear)のデータ構造や、センサー設定値と実測値の誤差による計測器エラー、微生物原料そのものの変動性などの要因により、PLCによる運転自動化の実現にも困難が伴っています。
PLCデータとドメイン知識に基づく最適運転アルゴリズムの構築
PLCデータをはじめ、既存のルールや運転レシピなどを複合的に分析し、標準化された運転アルゴリズムを設計します。
現場のドメイン知識を反映した隠れたルールや運転ロジックを構造化するパーサープログラミングを適用し、生産性向上を保証する最適運転ロジックを導き出します。
これにより、発酵プロセスの自動運転化を実現します。
発酵プロセスの制御偏差改善と完全自動化の実現
PLC装置2台に完全自動運転を適用し、手動運転時に発生していた制御偏差を4.3%から0.2%へ改善します。
また、最適運転アルゴリズムの予測結果に基づき、次の運転タイミングや対応事項に対する最適運転ロジックを提供することで、手動運転で生じていた熟練度の差や人的エラー要因も排除します。


